曽根富美子先生著『含羞〜我が友中原中也へ〜』を復刊させよう!

絶版本を投票で復刊!

私の好きな本を復刊させたく私も立ち上がる事にしましたー。
昔、麗人誌上のエッセイ「ザッツ耽美ズム!」というコーナーで紹介させていただいた事もあるのですが
何しろその頃(96年)すでに絶版されていたと言う代物で紹介したくせに読んでいただく事ができなかったのが悔しかったのです。
と言うか、本当によいので、ぜひ皆様にも読んで戴きたく、清き一票をぜひ!いれてほしい。

復刊.comに登録して http://www.fukkan.com/vote.php3?no=3733で、ぜひよろしくお願いします。
私も先日思い出して探してみたらあったので遅い応援ではありますが、一ファンとして1票入れさせていただきました。

一応、当時の私のエッセイとイラストをのせます。

「中原中也」の紹介をさせていただきます。

と言っても直接的に彼や彼の作品に「耽美」を見い出してるのともちょっと違うんですけど。
今は見い出しております。
初めて中也の詩を読んだのは、小学校の教科書で『サーカス』かなんかだったと思うのですが、大して興味は湧きませんでした。興味が湧いたのは、坂口安吾の『魔の退屈・暗い青春』に出てくる、酒癖が悪くてすぐ人に絡んでくる中也を知ってからです。
あんなリリカルな詩を書く人は、こんな人なのかと思い、改めて彼の詩集を読み直しました。あと、大岡昇平の『中原中也』とか。
 その当時偶然古本屋で見つけたのが、曽根富美子先生の漫画『含羞〜我が友中原中也へ〜』でした。
中也にはまっていた事もあって早速購入したのですが、とにかくこれが私の「耽美」でした。
余談ですが曽根富美子先生の作品には小学生の頃『ひとみ』で「空色の国のいっちゃん」を読んでいた頃 、触れておりました。

 登場人物は、主人公・中原中也。彼が初めて愛した女・長谷川泰子。
そして後に文学の神様とまで言われる小林秀雄。この三人を中心に物語は進むのですが、
とにかく小林と中也の関係がいいんですよ!
 山口の名門の家に生まれた中也は、奇蹟の子と呼ばれ育つが、厳格な父と周囲の期待が重なる、その窒息しそうな現実に耐えられず、文学の道に逃げ込んだ。十五の時、詩を一生の仕事と決めた中也と、将来有望と言われた帝大生小林。常識人の小林は初めて中也と言葉を交わしたとき「中原に強姦されたようなものだ」と思うが、周囲の期待という自分と似た境遇にありながら、あまりにも違うパーソナリティの中也に惹かれていく。けれど中也は小林を「お前はお前でしかない。おれはおれなんだ」と突き放す。
 泰子は売れない女優だった。劇団が潰れたとき、三つ年下の中也のもとに来、東京で一緒に暮らすようになる。美しい泰子にはたくさんの取り巻きがいるが、泰子は中也のもとへと帰っていく。
「あの人のことは、あの人の詩を読まなきゃわからないわ。
あの人は、まるで何かで体をまっぷたつに引き裂かれたような人よ。
私はあの人が恐い。伝わってくるあの人の心の中のものに耐えられないときがある。
それでも、私はあの人の許へ帰るのよ。
私を見つけて泣きそうな、悲しそうなあの笑顔になったとき、わたしもほっとするの…」と言って。


 けれどいつしか泰子は中也を離れ、小林は中也を愛し、泰子を奪う。
 小林は出世し、泰子はノイローゼになり、中也は詩を書き続ける。
小林は言う。
「中原、お前が流すような涙は、俺は一生かかっても流せないかもしれない。
泰子が流した涙の千分の一もおれはつぐなえないかもしれない。
おれは悩みまどう人の心に水を与えることはできないだろう。だけど、なあ中原。
いっしょだろ?おれたち、どうしようもなく込み上げてくる熱い思いに震える魂は一緒だよな」

耽美が何をさすのか、実際にはよくわからないんですけど、「切迫した魂の笑えない喜劇」って言うのはそうかなって思うんです。『含羞』は自信を持ってお勧めします。

もし上記文章で「ネタバレだ!削除してほしい」というようなファンの方がおりましたら御連絡下さい。
当時入手不可能だったのでかなり内容も盛り込んでしまったので…。
赤字は今回発表するにあたって新たに付け足した補足です。あまり意味はありません。